オーストリアSV

オーストリアSV 概要

「ヨーロッパ」と耳にしてイメージするのは、お洒落な街並みや華やかな雰囲気などが多いのではないだろうか。しかし、そのイメージは我々が勝手に作り上げているのかもしれない。そのような一面的なイメージだけでなく、その裏に隠された本当の街の姿を実際に目にすることで、都市の持つ重層的な文化構造・歴史構造を知り、複眼的な視点からの異文化理解を深めることを目的とした。

12月より参加者それぞれの設定した研究テーマについて事前の学習を行い、ウィーンの地ではそれらを踏まえたフィールドワークをすることで各自新たな発見をすることができたように思う。楽友協会ではウィーンの音楽文化に接し、一方で観光ガイドブックには載らないトルコ人街を散策するなど、様々な文化と共に今日までウィーンの街が発展してきた変遷を辿ることができた。

全体の旅程の概要

1日目

日本時間12時に成田空港出発。
現地時間16時にウィーン・シェヴェヒャート空港到着。到着後、軽く市内散策。

2日目

午前中、小宮正安准教授引率の「フィールドワークA」としてウィーン旧市街を巡る。ウィーン大学、旧市街を囲む城壁(リング)の現存する一部、ユダヤ教礼拝堂シナゴーグでのユダヤ人弾圧の跡地などを見学。
午後、ウィーン楽友協会資料館にて館長オットー・ビーバ氏による特別講演会に参加。テーマは「ウィーンが〈音楽の都〉になったわけ」。ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンなどの名立たる有名音楽家を生んだ街ウィーンが今日までどのように音楽の都として発展し続けたのか、ハプスブルク家の王朝制度、18世紀の啓蒙思想時代の市民社会などの歴史的背景と共にその理由を学ぶ。

オーストリアSV2014:ビーバ氏による特別講演会

ビーバ氏による特別講演会

3日目

午前中、小宮准教授引率の「フィールドワークB」。中心地の1区から離れ、ユダヤ人居住区の2区を中心に散策。ガイドブックには載らないユダヤ人とウィーンの歴史を見る。
午後は参加者それぞれの研究テーマの「フィールドワーク①」を各自行う。
夜は楽友協会大ホールにて、3.11東北大震災チャリティーコンサート「歌う第九」の鑑賞。アンコール曲は「花は咲く」。日本語の歌詞がウィーンの楽友協会のホールに響いた。

4日目

午前中各自「フィールドワーク②」。
午後ウィーン大学の日本語学科を訪れ、日本語を勉強しているウィーン大生とウィーン大学に留学している日本人学生との合同勉強会と交流会。タンデムを組み自己紹介をしながら、双方の語学力や文化理解力を向上させるプログラムをおこなった。その後も彼らとともに夕食を楽しみ、お互いの文化について交流を深めた。

オーストリアSV2014:合同勉強会の様子 その1 オーストリアSV2014:合同勉強会の様子 その2

合同勉強会の様子

5日目

午前中から夕方まで各自「フィールドワーク③」。
夕方、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団チェロ奏者のイェルゲ・フォグ氏の邸宅にお邪魔し、室内楽演奏会を鑑賞。ベートーヴェンとメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲を披露してくださった。(ピアノ:浦田陽子氏、チェロ:イェルゲン・フォグ氏、ヴァイオリン:レミー・バロー氏)かつてのウィーンでの音楽の在り方は今日のように大々的に演奏会を開くよりも室内で家族や友人と楽しむものであった。今ではその文化はほぼ失われてしまったというが、こうして古き良きウィーンの室内楽文化を体験することができた。

オーストリアSV2014:フォグ邸での室内楽演奏会

フォグ邸での室内楽演奏会

6日目

午前中から昼過ぎまで各自フィールドワーク④。
午後、ウィーン郊外への小宮准教授引率の「フィールドワークC」。日本の観光ガイドブックには載らないようなトルコ人街(ブルンネン・マルクト)やフンデルトヴァッサーのデザインによる芸術的なゴミ焼却場などを見て回る。

7日目

午前中から、ウィーン大学講師ヨハネス・ヴィルヘルム氏の引率、ならびにウィーン大学留学生の参加を交え、トルコ人市場での特別合同フィールドワーク。日本にはまだ知られていないが、現地では人気スポットになりつつある。観光客は見かけられないが現地の人で賑わっていた。その後、シェーンブルン宮殿の庭園を見学。
夜は各自、夜のエンターテインメント体験としてオペラやジャズコンサートに赴く。

8日目

午前中から夕方にかけて各自「フィールドワーク⑤」。
夕方から、小宮准教授引率の「フィールドワークD」でモーツァルトが埋葬されているマルクス墓地、かつてボヘミア人が数多く訪れた「ベーミッシャー・プラーター」を訪れる。

9日目

午前中、各自最後の「フィールドワーク⑥」。
午後、各自の研究成果発表会。日本での事前研究と現地でのフィールドワークで発見したことを合わせ、このSVで学んだことをまとめた。

10日目

現地時間13時に成田に向けて空港出発。

11日目

日本時間午前8時に成田空港到着、解散。