グローバル化が進む今日、場所と人、モノの関係はますます多様化している。日本に暮らす我々も、日常的に目にする光景、手にするモノから、人やモノのグローバルなつながりを感じない日はないだろう。それとともに、どこかに出かけ、学ぶという行為のあり方も変わっている。もはや、「アジア社会を学ぶためにアジアに行く」や「アフリカ文化を知るためにアフリカに行く」といったことが当たり前ではない。日本を含めたアジアの至るところに、国境を越えて多種多様な属性を持つ人々が集い、非同質的で流動的なモザイク都市が生まれているのである。
SVの対象地である広州市は、グローバルな人やモノの移動の中継地として、東アジア有数の都市である。広州市を含めた広東省は、福建省と並び、海外華僑の送り出し地域として有名である。広州市内や郊外には、華僑の援助をもとに建てられた、祀堂や住居、公園や大学などが各所に存在する。また、広州は古代より「海のシルクロード」の中継地として栄えてきた都市でもある。その足跡は、8世紀、唐の時代に建立されたイスラム教のモスクの存在などに垣間見ることができる。さらに近年では、海外からの移民の流入地域として、多くの外国人が集住する都市ともなっている。特にアフリカ系移民の数は2万人とも20万人とも言われ、通称「チョコレートタウン」と呼ばれるアフリカ人街が生まれている。
以上を背景として、広州SVではアジアのグローバル化をテーマとし、横浜と広州の比較研究を行った。中国と日本の二つの都市において、人の移動や多文化共生の現状と課題を学び、考察することが目的である。
担当教員 白水紀子・松本尚之
今回のSV実施にあたっては、多くの方々にご協力・ご尽力いただきました。ここに改めて、謝意を表したいと思います。ありがとうございました。