コルシカへ行くには、飛行機か船の2つが選択肢として挙げられる。
まず飛行機であるが、コルシカ島にはカルヴィ、アジャクシオ、バスティア、フィガリの4か所に大きな空港がある。フランス本土から来る場合、パリのオルセー空港とシャルル・ド・ゴール空港から直通便が出ているが、その本数はオルセー空港の方が圧倒的に多いため、基本的に用いられるのは前者の方だ。
次に船での行き方だが、フランス本土、イタリア本土、イタリアのサルデーニャ島からの3つから船が出ている。ただし船の場合、天候による高波や霧、もしくは船員や港湾職員によるストライキがたびたび発生するため、観光目的の旅行で利用する際には日程に狂いが生じる可能性が飛行機よりも大きい。
飛行機と船で料金的な比較をした際、どちらが安いかは時期による。オフシーズンであれば飛行機の方が高くつくが、夏になるとマイカーなどを島内に持ち込む人が多いため、船が高くなる。加えて、飛行機と船のどちらにしろ、コルシカ島への出入島税が一人につき7ユーロかかる。この税金は運賃に上乗せする形となり、コルシカ島の地方自治体の財源となる。一方、島民には割引料金がある。
次にコルシカ島内での交通手段であるが、徒歩を除くと主に鉄道と車が挙げることができる。
まず鉄道についてであるが、島内にはバスティア、アジャクシオ、カルヴィ、コルテなど、中央部から北西部の都市をつなぐコルシカ鉄道がある。ここで走る電車は、ミシュラン社が戦前に開発した路線走行型の自動車「ミシュリーヌ」に形状が似ていたことから、現在でも同じ「ミシュリーヌ」という愛称で呼ばれることがある。
このコルシカ鉄道の特徴としては、運行本数が1時間に1〜2本と少なく、終電の時間が早いということが言える。また、時刻表はあるものの時間にはルーズであり、規定の時間から15分以上遅れて電車が到着することもしばしばだ。
駅に関しては、その多くが無人駅である。切符の扱いについては、電車に乗った後に乗務員が車内を回って確認し、そこでそれぞれの行き先も聞いていく。乗降客のいない駅では停車することをせず、少しでも早く次の駅に向かうための工夫とでも言えるだろうか。
次に車での交通状況についてであるが、これは都市部でも農村部でも、道幅が狭く曲がりくねったところが多いということができる。また、そもそもコルシカが島であり高低差があることから、急こう配な道が多いのも特徴である。
都市部はそこまででもないが、農村部もしくは山間部における路面のコンディションはとても優れたものであるとは言えない。コンクリートのひび割れなどによる凹凸が目立ち、その上を車で通るとかなり振動が伝わってくる。また、山間部の一部では舗装されていない道もあり、地元の人たちはそこを車で移動するなどしている。
また、島内のほとんどの場所では、信号ではなくランドアバウトが採用されている。ヨーロッパの各地で採用されており、止まることなく進路変更できる手段として有効なものではあるが、日本人のように慣れていない人には難しいシステムのように感じた。
全体的なこととしては、コルシカの交通事情を作り上げているのは自然そのままの地形を生かしていることが理由であると言える。それぞれの都市と都市との間には相当な距離があり、必ずといっていいほど山間部を抜けなくてはならない。そこから生まれたのが、海沿いから山間部までを走るコルシカ鉄道であり、無数の曲がりくねった自動車道なのであろう。そこには、コルシカの農業が自然を尊重しているということと同様、コルシカの人々がいかに自然を身近に感じて生活しているかを窺えるような印象を受けた。