ボニファシオ(Bonifacio)はコルシカ島内で最も南に位置し、フランス本国では最南端に位置する町である。11kmの海峡を挟むと、イタリア・サルデーニャ島がある。
この都市の見どころは海に向かってそそり立つ石灰岩の断崖絶壁と、その上に作られた旧市街である。波によって削られた崖はリアス式の海岸線を作り出し、中でも旧市街が作られた崖は下部を大きく抉られている。建物によってはおそらく本当に海の上にある。
現在見ることの出来るこの旧市街は、ジェノヴァ人によって建設されたものである。11世紀、ジェノヴァは島の領有をピサ共和国と争っていた。16世紀のカトー・カンブレジ条約でようやくボニファシオはジェノヴァへ返還された。そのような経緯から、この街はジェノヴァと深い関係を持ち、街の各所にジェノヴァの名残を見ることが出来る。例えば、街に入る際に通る門は厚みを持つ石造りのジェノヴァ様式の門である。また、熱い日差しを遮るための雨戸は独特な開き方をする。
また、この町は近隣の町村から隔絶された場所に立地していること、コルシカ島の他地域よりも対岸のサルデーニャ島やジェノヴァとの歴史的交流が深かったことなどから、言語や文化の面でも独自の要素を持っていて、まさに「島の中の島」と言える地域である。
テクノロジーに囲まれた毎日を送るからこそ、自然が何百年かけて作り出したこの壮大な景色にただ感動するばかりであった。