本土フランス同様、コルシカでもワインは親しみがある。例えば、夕食のテーブルには必ずと言っていいほどワインがある。フランスワインにはAOC(原産地呼称統制)という品質保証があり、これは生産地域や栽培・醸造法などに規定を設けることで産地名称を保護する仕組みである。コルシカ島にもこのAOC認定を受けているワインの製造地域が9つあり、そのうち今回訪問したヴィーコ農園は、AOCコルスワイン(もしくは単にAOCコルス)の最も内陸、コルシカ島の中心に位置するドメーヌ(農園)である。ドメーヌはコルシカ鉄道ポンテレッチャPonte Leccia駅から徒歩20分ほどで行くことが出来る。
1902年開園のこの農園はその立地に特徴がある。コルシカ島内で唯一、海に面していないドメーヌであり、周囲が1,000mを超える山で囲まれた盆地にある。この地形的条件から、年間、あるいは一日の寒暖差が大きく、良質のワインが生産されている。ここでは赤ワイン用のニェルッチュNiellucciu種、白ワイン用のベルメンティーヌVermentinu種、ロゼワイン用のシャッカレールSciacarellu種というコルシカ特有の品種が作られていた。
コルシカワインは日本ではほとんど見ることが出来ない。フランス留学中もコルシカワインを見かけることはあまりなかった。しかし、コルシカのレストランやスーパーでは多くのコルシカワインが取り扱われており、地元の人に広く愛されているのだと感じた。