SVパラグアイ渡航に向けて、半年前の4月から準備を開始した。基本的には週1回のミーティングと週2回のスペイン語講座を軸に準備を進め、8月には3日間の合宿も行った。ミーティングでは昨年度の同SVで得た調査データの分析・引き継ぎから、今年度の活動内容やイベントの計画を行い、SVの目的を明確にした。こうした準備段階から様々な方の力を借りながらも自分たちで計画できたことでより多くの学びが得られたと思う。プログラム全体を通しても準備段階での学びは大きかったため、詳細を記したい。
ここでは主な準備内容を4つにわけて記す。
①渡航に向けての決意表明・目的の明確化
②パラグアイでの調査・イベントの企画、準備
③スペイン語の学習
④参加型開発の手法の学習
以下、各内容の詳細である。
①今回のSVは普段の学習を実践する場という意味では学習の意味合いが大きいが、ただ途上国のフィールドに行くということで満足してはいけないと考えた。というのも、昨年度渡航者の「漠然と『パラグアイの人の価値観や生活文化を知りたい』という目標にしても、得られることはあると思うが、それは漠然なものであるために明確な言葉として得られることは少ないかもしれない」という話があったからだ。私たちはパラグアイに行って「何をしたいのか、何をすべきなのか、また何ができるのか」ということを準備段階から意識して進めた。この結果一人ひとりが目的意識を持って取り組むことを意識することができたと思う。
②主に昨年度の調査データを分析したり、パラグアイと連絡を取り合ったりして得た情報を基に計画を立てた。特に活動期間の長い農村地域に関しては、調査のための調査票作成やワークショップのシミュレーション、料理教室のデモンストレーションなど本番を想定した準備も行った。しかしパラグアイでは、準備はきちんとできていたはずなのに本番は同じようにはいかないということ=「答えは現場にしかない」ということを痛感させられることになる。これについては後のページで述べていきたい。
③パラグアイの公用語はスペイン語と現地語のグアラニー語である。言語はコミュニケーションの基本で、私たちが外国人に日本語で話しかけられたら少し親近感が湧くように、現地の人と信頼関係を築くために重要である。実際農村では、現地の言葉で「こんにちは」を意味する「ンバエイシャパ!」と一言話すだけでニコッと笑顔になってくれた。私たちは完璧に調査ができるまでは話せなくとも、会話のきっかけとなる挨拶や基本的なコミュニケーションが取れるようになるまで、スペイン語の習得を目指した。
④参加型開発の手法の学習では、輪読を通じて理論を学び、夏休みには特別講義としてPCM (Project Cycle Management) 2手法を用いたワークショップを通じて実践的にも学習した。
これを用いることで漠然としていた調査対象の問題、目的などを整理することができ現地での活動を具体化することができた。ここで明らかになった目標を元に私たちの活動を計画立て、フィールドワークで実践したいことを明らかにした。
PCMにおける関係者分析、問題分析、目的分析を使用して私たちのプロジェクト目標を明らかにしました。
また、調査手法に関しては昨年度の反省として「調査方法や方針が統一化されていなかった」ということがあった。団体で調査をするにあたって、全員がバラバラに調査してしまうと、まとまった調査結果が得られない。この反省を活かして全員が同じ認識を持って活動を行えるよう、学習を進めた。
精一杯の準備をしても、現場では予期せぬ事が起こる。常に臨機応変に対応していくことが求められた。さらに、準備すればするほど課題は増え、しかし、何も準備していなければそれだけ浅い学びになってしまうことも確かである。現地での限られた時間を有効に使うためにも、準備がいかに大切であるか、身を持って体験することできた。