フィリピンSV

フィリピンの小学校

吉田舞穂
人間文化課程 2年

フィリピンSV5日目、私たちはLupang Pangakoという公立小学校を訪問した。

事前学習でフィリピンの学校の状況を調べてみると、お金がないため中退する子どもがとても多いことや、教室・教科書・先生などの必要なものが不足していることが分かった。何となく状況を理解した私たちは、小学校に行く際のお土産として文房具を持っていくことにしていた。自分たちが使いかけのものを、友だちや知り合いから集めたものだ。

しかし私は少し疑問を感じていた。私たちの使い古しの文房具を渡して喜んで受け取ってもらえるのだろうか、失礼だと思われないだろうか、それほどまでにフィリピンの小学校には貧しい子どもが通っているのだろうか。いくら事前学習で中退率などを勉強していても日本とあまりにも違いすぎるため実際に想像することが難しかった。しかし先生や去年SVに参加した人の話も聞き、文房具を持っていくことにした。

小学校に着き、まずは授業を見学させていただいた。私が見学したクラスは数学系のクラスで、生徒たちは私たちを気にしつつも一生懸命先生の話を聞き元気に質問に答えていた。教室の外には他のクラスの子どもたちが面白がって様子を見に来ていた。それを先生が怒ることもない。授業中だというのに廊下には子どもがたくさんいてとても賑やかで、子どもたちが自由にのびのびと過ごしていた。日本で授業中に廊下に子どもがいてうるさくしているなどありえないだろう。日本ではたくさんのルールで子どもたちを縛っており、それは教育として大切ではあるが、あまり規則に囚われていないフィリピンの子どもたちの方が元気で楽しそうに見えた。

その後、子どもたちと一緒に折り紙をしたり、ダンスをしたりした。みんな、慣れない折り紙にもあきらめずに一生懸命取り組んでくれて、最後にツルが出来た時とても嬉しそうな顔をしていたのが印象的だった。言葉の壁がある中でツルを教えるのは難しすぎたかもしれないとやりながら後悔したが、折り方が難しかった分子どもたちも出来た時の達成感を味わえたのではないかと思い、こっちも嬉しくなった。

最後に、子どもたちと別れ、先生に学校についてのお話を伺った。そこで日本とは全く違う小学校の事情をお聞きした。子どもの数に対して教室が足りないためこの学校は2部制になっており、先生たちは早朝から夜まで授業をしていたり、足りない教室の備品を自分のお金で購入したり、寄付してくれる人を探したりしているそうだ。先生たちがそこまでしなければならいほど学校では様々なものが不足していた。生徒たちの中にも制服を買えなかったりご飯を満足に食べられない子もいるそうだ。こんなに困っているのに、私たちに何か寄付してくれと頼むわけでもなく、今の自分たちの現状を熱心に語る先生を見ていて涙が出そうになった。ここに来るまで、文房具はいるのだろうかなどと考えていた自分が恥ずかしくなった。私は小学校の困窮具合を全く理解していなかった。

帰国後、小学校の先生がドロップアウトする子どもに関する統計データを送ってくださった。中退する子どもが多いため学年ごとの人数は年を追うごとに減っていくし、その数は年度によって違うが改善されているわけではない。中退理由は病気や兄弟の世話など様々だが、親の理解を得られない、居住地からの立ち退き、働かなければならないためなど日本ではあまり聞かない理由で中退する子どもも多い。自分の意思と関係なく学校をやめなければならい子がいる現状に、小学校で楽しそうに遊んでいた子供たちを思い出すと、とても悲しくなった。

学校での貧困を解消するためには様々な要因が必要なのだろう。フィリピンの経済力を成長させ、各家庭がもっと裕福になったり、国の教育予算を増やしたり、フィリピン国内での格差を縮めたり、そして私たちがする寄付もとても重要なのだと教えられた。

今回のSVを通じて実際に見てみなければわからないことをたくさんの衝撃と共に勉強することができ、自分の目で見ることの大切さを学んだ。そして同時に、現地での学びをさらに深めたり、時間を有意義に使うために、事前にしっかり勉強しておくことの大切さにも気づかされた。フィリピンで学んだことや受けたショックは日本に帰った今も、これからも忘れずにいて、次の行動に繋げていきたいと思う。