横浜国立大学「共生社会構築のためのグローバル・スタディーズ・プログラム」は、2013年度をもって3年目を迎えました。教育人間科学部人間文化課程ならびに大学院都市イノベーション学府を母体とする本プログラムはおおよそ半年にわたるスタジオ科目で準備し、二週間程度の海外提携校とのワークショップや現地調査を実施し、成果発表を行います。調査テーマやプロジェクトごとに自ら計画し、足を運び、考えを巡らしてはまた発信するアクティヴ・ラーニングの実践です。前身である国際共生社会課程でのグローバル・スタディーズ・実践ツアーを含め、多くの学生に海外経験の場を提供し、提携校を横浜に招いてきました。2013年度は、六カ国の提携校と百人を超す若者たちを交換しました。
今回は2012年度までの冊子体報告書に替えて、ウェブサイトという形をとりました(過去の報告書は人間文化課程のHPからご覧いただけます)。本プログラムの目標である、成果の実践的な発信へ向けた新たな取り組みです。
2013年度も、日本学生支援機構(JASSO)の留学生交流支援制度(ショートステイ・ショートビジット・プログラム [SS・SV])と横浜国立大学学長裁量経費の支援を得ました。記して感謝いたします。
( 松原宏之・小ヶ谷千穂 [横浜国立大学 都市イノベーション研究院/教育人間科学部 准教授、2013年度世話人] )
私がグローバル・スタディーズ・プログラム成果報告の編集に携わるのは、二年前に続きこれが二度目である。前回の編集作業も大変だったが、今回もまた例にもれず、大変であった。突然の編集担当者交代でピンチヒッターとして編集に携わったことに始まり、なかなか原稿が集まらないと思えば、せっかくの学生のイマジネーションが大人の事情と衝突してしまったこともあった。土壇場での大量の原稿差し替えにはデザイナーの方に多大なご苦労をおかけした。すべての参加者にとって納得のいく仕上がりになったかどうかには不安が残るが、しかし、それでもこうして一つのサイトが無事に完成したことをうれしく思っている。
今回の成果報告の難しさは、「他者に伝えること」にあったように思う。ウェブサイトの特性上、不特定多数の人の目に入ることになる。紙媒体の報告書や単なるレポートの寄せ集めとはわけが違う。そのため、各自がスタディーツアーでインプットしたことを咀嚼して、原稿をしたためる必要があった。本来であれば、全身で感じ取ってきた様々な経験を、言葉に置き換えるだけでも困難な作業であるはずだ。それを短期間で、わかりやすい形で伝えようとすれば葛藤や無理も生じたことだろう。私はただ原稿が届くのを待ち受けるだけの立場であったが、学部生たちは何度も議論し校正を重ね、原稿を提出してくれたのだと想像している。背景となる歴史の紹介や丁寧な用語解説は彼らの工夫のたまものであるが、いかがだろうか。学んだことを「伝えたい」という学生たちの熱意を感じ取っていただければ幸いである。
( 湯本真純 [横浜国立大学 都市イノベーション学府修士] )