F村は、パラグアイのカーグアス県コロネル・オビエド市にある。人口は約380人である。(藤掛2007)F村では毎年プロジェクトを行っており、第1回、第2回の渡航では学校建設プロジェクト、第3回では道直しプロジェクトを行っている。
(前年度以前については下記URLよりwebページを参照してください。)
http://www.ynu-gsp.jp/gsp2015/parSV/article_parSV-01.html
そして今回の渡航では栄養素に関するワークショップと料理教室、幼稚園の校舎のペンキ塗りを行った。
また、2014年度パラグアイ渡航でも同村において栄養素についてのワークショップを実施しており、今回の栄養素ワークショップはその復習の機会としても実施した。
当日は朝から小学生が20人ほど集まった。当日は最初に色分けされた栄養素がそれぞれ体にどんな働きをするかを説明した後に色分けゲームを行ってもらった。より理解を深めるために用意したカードを2回に分けてゲームをしてもらった。子供たちは積極的にワークショップに参加してくれて、三大栄養素について楽しそうに学習してくれた。
また、食品カードを使って普段よく食べる食品を発表してもらったところ、生徒たちがキャンディーをよく食べていることがわかった。その結果、図らずも以下のような流れによってF村の小学校に新たな支援を行うことに決定した。
9月16日の料理教室の際に、スープを煮込んでいる間に待ち時間が発生したときに、藤掛教授や一部の学生、保護者の方で少し集まってお話をした。その際に、子どもたちがキャンディーをよく食べているということなど、ワークショップの内容について親御さんたちに共有した。すると、親御さんたちはその状況を把握しており、それを改善したい意識があったということが判明した。保護者の方々によると学校では給食を十分に出せないという現状から、お昼ごろには子どもたちはお腹を空かせてしまうので、保護者の方々は子どもたちに対しおやつとしてキャンディーなどのお菓子を食べられるようにお小遣いを渡さざるを得ないという状況であった。そこで、学校で給食や健康的なおやつを出すことができれば、余計な現金支出が減らせ、子どもたちもお菓子を控えることができ、健康につながるのではないかと話になった。また、台所があれば学校で給食を出すことが出来るという話が出た。その結果、9月17日のペンキ塗りの後に再度保護者の方々と話し合いを行い、学校で給食を出すことに対して保護者方々による野菜の提供や、調理への積極的な意思を伺うことができたことから、台所用品一式の支援を決定した。
栄養教室の様子
子供たちが考えている様子
栄養教室の様子
普段よく食べるものを発表している様子
料理教室に参加した女性は4人であった。これはインビテーションカードを配った日から1週間以上空いてしまったことが要因であると考えられる。また、栄養講座を行った後にでた女性たちのニーズに対する調査が行われていたために女性たちと一緒に料理をできたのは少しの時間であった。出来あがった料理を食べるとき、子供たちは喜んで食べてくれ、おかわりをする子供もいた。一方で料理に大量の塩をかけて食べる子供の様子も見られた。
パラグアイでの調味料は塩が使われている事が多く、普段から塩味を利かせた料理が多いために日本の料理の味では物足りなかったのではないかと感じた。塩を使いすぎることが健康に良くないということをどのように伝えるか検討する必要を感じた。さらにポテトサラダに使ったじゃがいもはF村では普段あまり使われておらず、じゃがいもよりもマンディオカ(キャッサバ)の方が食べられている。より農村の方々の生活に沿った料理のレシピを提供すべきであったところが反省点である。
料理教室の様子
ペンキ塗り自体は、地域の方々や学生ら、F村の小学生など多くの方々が参加してくださり、はけが少し足りなくなるくらいであったため、時間にしても2時間ほどで終えることができた。保護者の方々だけでなく隣接する小学校の生徒も多く参加したことで、今後地域の方々が愛着を持って校舎を大切に扱ってくれると考えられる。反省点としては、外壁を塗るペンキが少し足りなくなってしまった点があげられる。雨の影響をどのように受けるのかも含め、今後の壁の状態を観察していく必要がある。
ペンキ塗り前(2016年9月6日撮影)
ペンキ塗り後(2016年9月17日撮影)
F村での活動を通じて、準備の段階から実施までアクティビティを行うことの大変さを身を持って体験した。また当日を迎えても準備が至らなかった部分もあり、反省は多く残った。一方、台所のニーズ発掘など良い方向への想定外の事態もあり、こういった活動においては様々な事に対して常にアンテナを張っておくことが思わぬ発見に繋がることも学んだ。
また、ペンキを塗った幼稚園や支援したガスが今後どのように使われていくかに対しては、引き続き注視していく必要性も感じる。
今回出た反省や今後観察が必要と思われることに関しては来年以降の渡航にしっかりと引き継ぎたいと思う。ともあれ、今回のワークショップが子どもたちや女性に対して少しでも良いきっかけになったことを期待している。