シンガポールSV(1)

HOME(移民労働者支援団体)での経験

熊山修平
人間文化課程 3年

私たちはシンガポールに滞在して4日目にHOMEに行きました。HOMEはシンガポールのNGO団体の一つであり、他の国々からくる移民労働者への様々な支援を行っています。私たちはそこで、実際に現地で移民労働者と関わっているHOMEの人たちから移民労働者の現状や課題について貴重なお話を聞くことができました。

シンガポールSV(1) 2016:HOME外観

「情义」というのは日本語で義理と人情といった意味

現在、シンガポールは人口の40%以上を外国人が占めています。そのため、シンガポールにおける外国人への政策は国内で大きなウエイトをもっています。なので、私はシンガポールに行く前に、シンガポールの外国人政策について勉強していきました。日本にいるときに調べて私は「シンガポールは移民政策にとても成功していて、移民を受け入れる環境も整っている」そう思いました。インターネットで調べてみると、多くのサイトがシンガポールの移民についてポジティブなことばかり書かれています。しかしながら、HOMEで聞いたお話は違うものでした。

シンガポールが移民労働者のおかげで発展したことには変わりないことですが、移民を受け入れる環境は完全には整っていないのです。特に低階級の移民労働者は悪い環境を強いられていることがあるそうです。住むところは古く汚く整理もされていないところも多いです。また、お風呂やトイレは住居についておらず、トイレは住居の中でするため、汚物が部屋の中に放置されていているところまであるそうです。とても、住む環境が整っているとは言えません。また、移民労働者に対する賃金の未払いといった問題もあります。働いたはずなのに賃金を払われず、生きるのに必要な食事すら満足に摂れない人たちもいるそうです。

日本も移民はあまり受け入れてはいないが、「利益至上主義」と言われ、利益のためなら多少の犠牲は厭わないというような風潮があります。シンガポールもそれに近いのだなと感じました。現在、日本でも、世界でもグローバル化の流れが加速していると思います。日本も、もしかしたら近い将来、さらなる発展のためその流れに乗るかもしれません。日本は、まだまだ環境が整っていませんが、シンガポールの現状から、もう一度より深く考えていく必要があると感じました。

HOMEはそのような人たちの支援を行い、環境の改善を試みているそうです。問題の相談に乗ったり、問題の解決のために動いたりしています。低い階級の移民労働者は文化の差や、言語の能力の差などの異国の壁に阻まれ悪い環境から抵抗することも難しくなっていると思います。なので、HOMEは移民労働者たちの心強い味方になっているかと思いました。

あともう一つ、暖かく接することの大切さを学びました。外国に行くのも初めてだったので外国人として扱われることも初めてでした。なおかつ英語もうまくありません。そのため、HOMEで実際にシンガポールの人と触れ合い、英語でお話を聞くという事に不安や緊張がありました。しかし、HOMEの人たちは私たちに暖かく、笑顔で接してくれたので安心することができました。他の国に行く、行ってそこで住む、働くということは、みんな不安や緊張することだと思います。暖かく接するということは、外国人を受け入れる環境にするためにとても大事なことだと、外国人としてシンガポールに行って、より強く感じました。

HOMEではとても貴重な経験をすることができました。やっぱり実際に携わっている人たちからのお話は日本から調べるものと全く異なっていて、気付く点も多かったです。日本も学べる点も多かったし、世界にも多くの問題があると感じました。もう一度、今回の経験をヒントに色々なことを考えていきたいと思いました。