シンガポールSV(2)

“アジア”イメージの変化

加茂紗智子
人間文化課程 4年
シンガポールSV(2) 2016:夜景

夜景

私がシンガポールに行ったことで気づいた一番のことは、自分の中の“アジア”の国々に対するイメージが間違っていたということである。私はそれまでアジアの国々は日本を除けばどこもまだまだ発展途上で、言い方は悪いかもしれないが、汚かったりするものだというイメージが正直あった。だから、アジアに興味を持ってなかったし、そこまで楽しめるものでもないかと思っていた。だが、実際に行ってみてみるとどうであろう。街並みはカラフルな家が並んでいたりしてかわいいし、建物や町中にあるオブジェやバスなどもアーティスティックで見ていて楽しい。道路も車がそこまで多いわけでもないし、ゴミも落ちてはいるが日本の都心部よりもきれいである。地下鉄もエスカレーターで降り立ったすぐに案内板があるので、どちら側に並べば良いのか悩まずにすむ。観光客として非常にわかりやすく、観光がしやすい土地であるなと感じた。さらに実際に大学の講義を受けてみると、生徒が各自パソコンを持ち込みそれを使って質問などのやり取りをする、デジタル式の最先端とでも言うべき授業が行われていた。これを見た時には自分の大学方が劣っているとさえ思えた。旅行雑誌などに載っている観光スポットも多数訪れたが、どこも不快感を抱くことなく十分に満足し楽しめた。自分が旅行前に抱いていたイメージとはかけ離れた、綺麗だと言われる日本とさして変わりない風景が、そこにはあったのである。

ただ、聞いた話ではこの風景も5年前ではここまでではなかったらしい。これまで述べてきたような綺麗で魅力ある場所ではなかった。それこそ私が以前抱いていたようなアジアのイメージがあったのかもしれない。だが、それがたったの5年でここまで変わったのだとしたら、その力の凄さに驚く。小さい土地であるから整備もしやすかったのかもしれないが、それにしても変えられる力があるのだと気づかされた。日本も高度経済成長期があったが、どこの国にも、そういう力はあるものなのだと思われた。私はシンガポールに行った後、別でタイのバンコクにも訪れたが、そこはまだ私のかつてのアジアのイメージに近い風景であった。しかしこれも何年後には見違えるようになれるのかもしれないのかと思ったら、世界中がどこも良いものになるような気がし、それを成し遂げられる人間の力は凄いものだと改めて感じた。人間もやっぱりまだまだ捨てた物じゃない気がしてきた。

その他現地の学生との交流も含め、全体を通し、やはり自分の価値観だけでいるのはよくないことに気づかされた。ちゃんと周りも見ておいた方が良いことに気づかされた。今回のシンガポールへの旅行によって、アジア地域を一つにくくることができないこともわかったし、どんどん進化していっていることもこの目で確かめられた。私は日本が好きで、日本(自分)が良ければ他はどうでもよいと思っていたが、世界を見ることも大切であるし、世界を見ることで気づかされることもあることを学んだ。世界に興味持っている人や大学生として勉強してきたのならば、当たり前のことであって今更なのかもしれないが、そのことを頭だけで理解するのではなく、実際にこの目で見て体感できたのが、このSVで学び得られた結果である。

小さい学びとして、日本のアニメカルチャーに関して、ピカチュウやドラえもんは目につくところに必ずあることからやはり強いのだと実感し、そしてカードゲームをちゃんとするあたりに、日本のようなキャラクターのみの消費形態が薄いのだということを感じた。