ロンドンSV

シェフィールド探索

山内海渡
人間文化課程

ロンドン滞在3日目となる3月5日は、ロンドンを離れイギリス中部に位置するシェフィールドという都市を訪れた。自分たちの宿舎である場所から車で約3時間という長距離の移動だったが、窓から見える景色はヨーロッパの田舎の田園風景そのもので、日本の田舎の風景とは一味違った景色を見ていたらあっという間の3時間だった気がした。イギリスはこうした田舎の文化、風景を保護する取り組みが行われていると聞いたが、ロンドン中心部の重厚な都市の景色とこうした田舎ののどかな景色が楽しめるというだけでも海外に来る価値はあるなと感じることができた。

シェフィールドはイングランドにおいて人口第5位を誇る工業都市である。川に囲まれ、鉄鉱石や石炭が多く取れることから産業革命以降のイギリスの工業を支えてきた。ちなみに川崎市と友好都市であるというので少し親近感がわいた。

ロンドンSV2015:シェフィールド探索 写真1

僕たちがまず訪れたのはシェフィールド大学。5人のノーベル賞受賞者を輩出した名門の国立大学で多くの留学生も通う国際的な大学である。そこで横浜国立大学の大学院の学生でシェフィールド大学に留学しているという齊藤先生のゼミの先輩の方と合流をしてシェフィールド大学を案内してもらった。自分たちと同じ国立の大学とは思えない規模を誇り大学を中心に一つの町が形成されていて、勉強に集中できる環境が整っていることをうらやましく思った。特にThe Diamond という施設は小さい図書館が併設された施設で、年末年始を除いて24時間開館されているというから驚きである。大学というカテゴリーが日本とイギリスでかなり違う立場であるということを改めて感じた。

その後は大学周辺をぶらぶら散歩。路面電車が広い街の交通の手助けとなり、活気ある屋台が軒を連ねる光景はヨーロッパのそれそのものであった。その中で僕達が訪れたのは多国籍の様々な種類の店が集まるエスニックショップ。ヨーロッパの国はもちろんアフリカやアジアの民族衣装や食材などが豊富にあり、様々なルーツを持つ人が多いイギリスならではだと思った。施設の中自体は屋台風のお店が多くあまり綺麗とは言いがたかったが、人が溢れんばかりにいたことは驚きだった。

ロンドンSV2015:シェフィールド探索 写真1

この散策の途中に急な雨に降られたが、ロンドンの特徴と言えば雨が多いということである。しかし幸運にも急な雨に見舞われたのはこの日だけであった。しかも実際のイギリスの降雨量は日本の降雨量よりも少ないという。1日のうちに何回も天気が変わるらしく、事実僕たちが見舞われた雨はものの10分くらいで快晴に変わった。

今回のスタディープログラムにおいてロンドンを離れたのは唯一この日だけである。車での移動はかなり長いものであったが、その時間分きた価値はあったと思う。シェフィールド大学を中心に一つの町が形成されていて、イギリスの学習意識の高さに刺激を受けたり、エスニックショップでの盛況はいかにイギリスで多文化が受け入れられているかを肌で感じることができた。イギリスといえば日本人のほとんどがロンドンを想像すると思うし、実際ロンドンの町並みは決して日本では味わえない西洋文化あふれる風景である。しかしロンドンから離れた景色も、広大な平野の中で淡い緑が一面に広がっている風景であり決して日本では味わえないものであると感じた。こうした素晴らしい景色を保護しようとしているイギリスの取組みに感銘を受け、日本の素晴らしい風景の行く末を考える1日であった。