パラグアイSV

(6) メルセデス学校づくり

大橋怜史
教育人間科学部人間文化課程

1. メルセデスとは

メルセデスは、カアグアス県コロネル・オビエド地区に位置する地区の名称である。パラグアイ渡航に参加した学生を引率していた藤掛教授が代表する、ミタイ・ミタクニャイ子ども基金が、小学校の建設支援をするなどして関わってきた地区である。

パラグアイSV2015:メルセデス地区の子どもたちと旧校舎をバックに記念撮影

メルセデス地区の子どもたちと旧校舎をバックに記念撮影

2. 活動日程

  • 11月2日 午前メルセデス地域顔合わせ 子供たちといろんな遊びをして交流
  • 11月3日 12:00プロジェクト支援者(先生のファミリー)の自宅にて面談
    14:00授業補助+学校建設に関する会議(保護者会)
  • 11月4日 9:00授業支援・リコーダーアクティビティ
  • 11月5日 7:00仮校舎解体作業、リコーダーアクティビティ
  • 11月9日 7:00学校建設作業(石運び、土台作り)
    14:00女性グループの会議(先生)、英語の授業
  • 11月11日 9:00学校建設作業
    13:00送別会・学校建設作業
  • 11月12日 9:00学校建設作業
    午後学校建設作業
    18:00メルセデス学校校長と会食
  • 11月13日 8:00学校建設作業
    12:00メルセデス学校校長と会食
    20:00プロジェクト支援者宅にて面談
  • 11月21日 午後メルセデス学校建設進捗状況確認

3. メルセデス学校の校舎増築工事

(1) 目的:
学習環境の悪い仮教室を解体しレンガ造りの新しい教室を建て、メルセデス学校の生徒の学習環境を良くすること

(2) 実施日程:
上記活動日程を参照

(3) 活動内容:
①学校建設に関する会議(保護者会)
②仮校舎解体
③新校舎の建設

(4) 校舎増築に至る背景:
2015年3月ごろ、地元の人々から引率の藤掛教授が代表するミタイ基金へ、メルセデス学校の教室を増やしたいという意見があった。その後、住民たちは自分たちで仮校舎を建てていた(同年の8月ごろと推測される)。この仮校舎は木の板でできていて、教室内の脇に積み上げられた木の板には無数の蟻がたかっていた。床は普通の土の地面であり、学習環境は良くなさそうであった。

①今回、ミタイ基金は校舎の増築に協力するという事で11月3日、メルセデス学校で校長先生や生徒の保護者による集会を行い、校舎増築工事に対する意見を聞いた。その結果、保護者の方々は校舎の増築に対して賛成しているという点が確認できた。次いでこの話し合いでは、新校舎の材料の入手に関することも話し合われた。また、建設作業は主に地元の業者2名を中心に、パラグアイ渡航に参加した学生はそれを手伝うという形で行われることとなった。

パラグアイSV2015:石を積み上げる様子

石を積み上げる様子

②11月5日、一部の学生は地元の業者さんたちと一緒に仮校舎解体作業の手伝いを行った。この間、残りの学生はリコーダーアクティビティを行っていた。作業は主に業者さんが一枚ずつ木の板を外し、学生が木の板を仮校舎の外に運び出すという形で行われた。

③11月6日〜11月8日の間に、地元の業者が区画に沿って土台の溝を掘っていた。
11月9日から新校舎の建設工事は始まった。作業の内容は以下のとおりである。尚、主に作業は地元の業者2名と学生(時にはメルセデス学校の生徒も加わった)で行われた。

11月9日
トラックから運ばれてきた石を土台の溝の周りに運ぶ。それが終わると、石をなるべく隙間の無いように溝に敷き詰める。その際、大きな石はハンマーで砕き、溝が埋まるようにする。その後、セメントの粉と水と砂を決まった分量で混ぜ合わせる。水が足りなくなって池から運ぶこともあった。そしてできたセメントを水で薄め、土台の溝に流し込む。

11月11日
セメントを作り、土台の溝に流し込む作業を引き続き行った。

11月12日
セメントを作り、土台に石を積み上げてセメントで固定していく作業を行った。

11月13日
引き続きセメント作りと石の積み上げを行った。積み上げた石の上にレンガを積むという段階まで行ったが、レンガを積む作業は職人にしかできないので、私たちは土台の周りにレンガを置いて、後の作業はお願いするという形になった。

その後の作業は、地元の業者によって引き続き行われている。2016年1月25日に確認された時点では、壁はほぼ出来上がっている様子だった。

パラグアイSV2015:渡航中にここまで完成した

渡航中にここまで完成した

4. 終わりに

今回のメルセデス学校の校舎増築作業は主に渡航に参加した学生と業者の方と一部の生徒たちによって行われたが、メルセデス学校の生徒の協力が得られたという点でとても良かったと思っている。学生は慣れない暑さの中重い石を運ぶといった作業に苦しむ中、生徒たちはときには10ほど年の離れた学生よりも元気に活動してくれた。そういった面だけではなく、私たちが声をかけずとも自分たちから学校建設に協力し始めてくれたということがとても重要な点だった。彼らが自身で自分の通う学校を作るという体験はなかなかできるものではなく、それは彼らが学校を大切にしていくことにつながっていくと思う。この建設作業は私たちの帰国後も着々と進んでいることが確認されており、しっかりと完成することが予想される。新校舎の完成によって、生徒がより良い環境のもと学習の質を高めていくことになっていくことが期待される。

パラグアイSV2015:保護者会の様子

保護者会の様子