パラグアイSV

(7) メルセデスリコーダーアクティビティ

大橋怜史
教育人間科学部人間文化課程

1. アクティビティの目的

レクリエーションを通して学校の子どもたちと交流すること
楽器の演奏を通して生徒たちが自分を表現できる力を養うこと

2. アクティビティの概要

このアクティビティを行うにあたり、日本から40本以上のリコーダーをパラグアイに持参する必要があった。そのため、日本において渡航メンバーが友人・知人をあたって、使わなくなったリコーダーを集めるという作業が行われた。ここでは主に、大きさ等の適性を考えてソプラノリコーダーを集めることとなった。このリコーダーは、メルセデスの生徒たちにあげる予定であった。また、大きな模造紙に、音別に色分けされた音符を用いた楽譜を作成し、シとラとソの、指で押さえる部分を図として表したものも日本において作成した。また、課題曲の選定においては、一部の音を変えることで、リコーダーにおいて最も簡易だと考えられるシとラとソの三音のみで演奏できる曲ということで、「メリーさんの羊」が選ばれた。

パラグアイSV2015:リコーダーを教える渡航メンバー

リコーダーを教える渡航メンバー

リコーダーアクティビティの一日目に私たちは、日本から持参したリコーダーを生徒に配って練習してもらう前に、今回生徒たちに演奏してもらう曲(メリーさんの羊)をリコーダーで演奏して披露した。そうすることで、特にサッカーなどの運動が好きな生徒たちのモチベーションを上げることや、生徒たち全員に目的意識をもってもらうことを期待した。次にリコーダーを生徒たちに配ったら、生徒たち数人(1〜5人程)に学生一人がつくといった形でシとラとソの三音の吹き方をレクチャーしながら教えた。大体の生徒たちが三音を吹けるようになってきたと感じたら、大きな模造紙に書いた楽譜を見せながら曲を一緒に練習した。そして最後に、皆で合わせて曲を演奏した。
二日目には、一日目に引き続き三音や曲の練習をした。

多くの生徒たちがリコーダーに興味を持ってくれて、リコーダーの演奏を楽しんでいたように見受けられた。一方、個人差に加えて練習時間があまり多く取れなかったという事もあり、リコーダーの「メリーさんの羊」を吹けないままの子供もいた。しかし今回のアクティビティを受けて、アクティビティの後も学校の授業の一環としてリコーダーの演奏を取り入れていくことが決定した。そのため、それらの生徒も継続的に演奏の練習をしていく中で吹けるようになっていくことが期待される。その際リコーダーは、生徒たちにあげると紛失したり学校に持ってくることを忘れたりすることが懸念されたため、学校に寄贈するという形となった。

パラグアイSV2015:一生懸命な生徒たち

一生懸命な生徒たち

練習時間があまりとれなかったという背景には、あまり長く練習してしまうと生徒たち(特にリコーダーが苦手な生徒たち)が飽きてしまう恐れがあったという点もある。初めてリコーダーに触れる生徒たちが一つの曲を演奏できるようになるには、長時間の練習を少ない日数でこなすよりも、短時間の練習を継続して続けていくことの方が有効だった。その点、リコーダーの演奏が授業に取り入れられたことは良かったと思うと同時に、このようなアクティビティの立案の際に継続性という観点は大切だと感じた。また、今回リコーダーは学校が一括に管理することになったが、その際衛星面での管理は十分になされていくだろうかという懸念も残っている。メルセデス学校の水道は一つだけであり、蛇口をひねっても水が出るときと出ないときがある。学校の水道では、生徒たちに使用されたリコーダーを毎回洗うことができるとは限らないため、その際どのように対処していくのかを確認し、さらに考察していく必要がある。