パラグアイSV

(10) SVに参加して、パラグアイ留学生

佐藤鈴木 誠吾セルヒオ
都市イノベーション学府

2014年9月に留学生として本校に受け入れて頂き、現在は大学院に所属している。私は今回の渡航で訪問した日系移住地ピラポ出身の日系3世である。

来日前からパラグアイSV渡航(以下、SV渡航)の担当教員である藤掛先生や第一期と第2期SV渡航メンバーとは繋がりがあった。2013年、日系人対象の奨学金に応募するため大学を模索していたとき、偶然にも、第一期渡航メンバーが日系福祉センターという私が下宿していた宿舎に宿泊したのだ。学生との交流を通じて藤掛先生を紹介してもらい留学を決意した。このように、私にとってSV渡航は様々な出会いと横浜国立大学に留学するきっかけを与えてくれた魅力的な渡航なのだ。

今回は3度目のSV渡航ということで、言語、環境や治安などを把握しているということもあり、私は通訳・コーディネーターとして参加した。「現地のことなら任せとけ」という意気込みでSV渡航に関わらせて頂いたのですが、都市部ではパラグアイ出身の自分でさえ知らない所や滅多に行くことのできない場所ばかり訪問した。また農村では、未経験なことばかりで少し戸惑った。例えば、都市部では噂でしか聞いたことがなく、立ち入る為には市の許可が必要な危険地帯といわれているカテウラ(ゴミ集積山地域)を訪問。実際に足を運ぶことでカテウラの現状を把握することができた。他にも、NIHON GAKKO大学でのシンポジウムや文化祭に参加し交流した。中でも都市部で最も印象的な出来事は国会における藤掛先生の勲章授与式に参加したことだ。メダル授与された先生とともに歓喜し、魅力あふれる国会の雰囲気に感動した。

パラグアイSV2015:学校建設で藤掛教授とセメントを運ぶ

学校建設で藤掛教授とセメントを運ぶ

農村部のメルセデス地域では、学校増築工事で石運び、土台やセメントづくり等を体験して始めて学校増築という国際協力に関わった。このような経験を通して、現地に行って初めてわかる国際協力の難しさ、地域のニーズや問題などに気づくことができた。他にも、S村で道直しをする等、現地出身の私にとっても、今まで体験したことのない活動を経験した。

現地の方々はとても優しく、そしてとても暖かく私たちを歓迎してくださった。メンバーの中にはホームステイをして家族同様の関係になった学生もいるくらいだ。そして、長い渡航のなかで、最も楽しく安心して過ごせたのは日系移住地の一つであるピラポ訪問だった。私は自分が生まれ育ってきた日系移住地を渡航メンバーに紹介するのが今回の渡航で一番嬉しかった。一見嘘のように感じますが、日本の真逆の世界でも日本語が通じるのだ。一世の方々はもちろん、2世、3世、現代では4世の若者でも日本語が文字通りペラペラだ。むしろ日本語の方が得意という若者も少なくない。また移住地は、言語だけではなく日本文化や習慣なども受け継がれていることから「古代の日本」と言われている地域だ。そんな移住地を少しでも多くの方々に知って頂き日本との繋がりを広げることは、ピラポ移住地に暮らす日系人全員の願いだと思う。