フィリピンSV

フィリピンで見た子供たちの現状

宮野嘹
人間文化課程 2年

今回のフィリピンSVではフィリピンが抱える社会問題やフィリピンと日本の間にある国際問題など、多様なテーマについてそれに関わる施設や人物に訪問することで知識を深めることができた。また、フィリピン大学の学生たちをはじめ、様々なフィリピンの人々の交流を通じて得られたものも多かった。その中でも、フィリピンの子どもたちとの交流する機会も多くあり、強く印象に残っている。今回のSVプログラムの一環として設けられた子どもたちとの交流の機会は大きく2つあった。一つ目は2日目のストリート・チルドレン支援NGOカンルンガン・サ・エルマ*13において、子どもたちと交流である。2つ目は3日目のホームステイでの地域の子どもたちとの交流である。2日目に訪れたカンルンガンとは、ストリート・チルドレンの保護・教育等の支援活動を行っており、私たちはその養育施設を訪れ、幼い子供たちと一緒に遊び、折り紙を教えるなどをして交流をした。ストリート・チルドレンと聞くと、どうしても暗いイメージを持ちがちであるが、子どもたちは予想よりも遥かに友好的で人懐っこく、子どもたちと楽しい時間を過ごすことができた。3日のホームステイでは、フィリピンの中流階級にあたる家庭に1泊ホームステイをし、子どもたちが遊び場としている広場で私たちも子どもたちとレクリエーションなどの遊びを楽しんだ。最初は私自身、言語の壁により子どもたちと打ち解けられるか多少不安があったが、子どもたちとの遊びをとおして言葉が伝わらなくても気持ちが通じ合えたように思う。子どもたちの無邪気にはしゃぐ姿には、日本の子どもたちと同じものが見られた。

このように、フィリピンの子どもたちと楽しい時間を過ごすことができた一方で、SVで訪れた様々な場所でフィリピンの抱える貧困や格差といった問題が現地の子どもたちにも根強く現れているところが見受けられた。1日目に訪れたフィリピン大学の学園祭や、2日目に訪れたフィリピン国内最大のショッピング・モールをはじめ、様々な場所で貧しい格好をした10歳未満の幼い子供たちからお金を要求される場面が多くあり、ひどく心が痛んだ。また、スラムや貧困街での子どもたちの風貌や格好が他の地域の子どもたちのそれとは大きく異なり、フィリピンの格差がいかに大きなものであるかを痛感させられた。

注釈
  • *13 カンルンガン マニラにあるストリートチルドレンを支援するNGO団体。正式名称はカンルンガン・サ・エルマ。親から虐待を受けたり、ニグレクトを受けた子供たちが入っているが施設に入れない子供たちも多い。SVでは折り紙などを用いて子供達と交流した。