私たちは、横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程の国際協力ゼミ・スタジオにおいて藤掛洋子教授の下で勉強している。ゼミ・スタジオでは、国際協力や社会開発、他者支援や他者理解のあり方などについて学んでおり、そこでの学びを実践的に展開するために、ショート・ビジットプログラム・グローバル・スタディーズ・ツアー(以下、SV):第6回パラグアイ・ブラジル渡航に参加した。パラグアイは、藤掛先生の研究実践フィールドでもあり、先生はパラグアイと25年間に渡る関わりがある。私たちの渡航期間は2017年9月5日から10月10日の36日間であり、パラグアイに27日間、ブラジルに9日間滞在した。
2013年度から始まったSVパラグアイ渡航であるが、2016年度からブラジル渡航が加わり、今回の渡航は第5回目となる。すなわち私たちは5期生であり、メンバーは、横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程3年生:鈴木泰輔、久保田玲海、教育人間科学部人間文化課程2年生:妹尾まりあ、松岡万理恵、樋口円華、坂田有紀奈、松永祐人、反田遥南、佐藤里南、平川奈菜、齋藤幾日、林佑紀、都市イノベーション学府博士前期課程2年生:大西星川ウイルソン秀次、環境情報学府情報メディア環境学専攻博士前期課程2年生:藤田雅之の14名である。ここに指導教員である藤掛洋子教授が引率して下さり、ファビアン・カルパントラ講師もこの渡航の中盤に一部参加した。
私たちのパラグアイ渡航は大きく分けて5つ目的を持つ。この目的を達成するために約半年間かけて準備をしてきた。(1) 学術交流協定大学との国際シンポジウムの実施、(2) カテウラ他の貧困地域におけるインタビュー調査と国際協力の実践、(3) 伝統工芸品であるニャンドゥティやアオポイの生産者への継続したインタビュー1、(4) 農村地域における教育支援アクティビティ2、(5) 日系移住地での交流等3である。
国際協力や開発実践の専門的な知識について何も知らなかった私たちは、この渡航の目的を達成するため2017年4月よりゼロからスタートした。渡航準備では、現地の公用語である「スペイン語(イスパニア語)」を学ぶとともに、「パラグアイ事情(全学教養科目)」、「国際学/開発人類学」、「国際支援政策論」(大学院の授業)などの授業をそれぞれ履修(/聴講)するとともに、スタジオ・ゼミの授業の中で調査手法や対象国の歴史・文化や、国際協力や開発援助の理論と実践に関する論文の輪読を行ったりしてきた。また、PCM(Project Cycle Management)手法と言われる、プロジェクトを円滑に展開していくためのロジカルシンキングの手法を演習形式で学んだりして、知識を増やしてきた。
アスンシオン国立大学にて「国際化」に関するシンポジウムを実施
現地では、学術交流協定大学であるアスンシオン国立大学、NihonGakko大学、カアグアス国立大学と国際シンポジウムや異文化理解のためのさまざまな交流会を実施した。また、パラグアイ全土の大学関係者がアスンシオン国立大学に集い「国際化」をテーマに国際シンポジウムが開催され、藤掛洋子教授がスペイン語による基調講演を行うとともに、学部生の松永祐人・佐藤里南より「日本のジェンダー問題について」についてスペイン語で発表した。
カアグアス国立大学の学生たちとの交流
カアグアス国立大学では、藤掛教授による横浜国立大学が実施しているJICA草の根技術協力:「パラグアイ農村女性の生活改善プロジェクト」4の講義が行われるとともに、渋川祥子横浜国立大学名誉教授による「栄養」にかかる講義が行われた。今回、学術交流をさせていただいた大学において、私たちは日本の文化紹介として「ソーラン節」を披露するとともに、ヒットしている「恋ダンス」も合わせて紹介し、大変喜ばれた。全ての学術交流協定のセレモニーは、厳かな雰囲気の中で行われていたのだが、各大学の学長が突然歌いだしたり、踊りだしたりして、ラテン文化を体感することが度々あった。最初はこのような異文化にかなりの戸惑いを覚えたが、ダンスや音楽によりその場の雰囲気が明るくなり、急に仲が深まったような気がした。そして、どの大学でも学生同士で自らの食文化の紹介やスポーツ交流を通して親睦を深めることができ、大変有意義な時間を過ごすことができた。